テクニカルインフォメーション

アイス/ミックスクライミング用グローブの特徴と用途

2004年時点の情報です

1.右がドライツールグローブ
指先のデザインに注目
2.ドライツールは革が指先をおおい、
さまざまな機能性を生んでいる
3.ルーフ出口にかかる氷柱に挑む
Photo: Will Gadd
4.ディビエントグローブのリストバンド
5.アイスグローブのリーシュガイド
ウィンターシーズンにおけるクライミング用グローブにはどのような機能が必要とされるでしょうか?
まず寒気から手を守る「保温性」そして様々なギアを扱うための「操作性」が重要な機能としてあげられますが、この二つは単純に両立するものではありません。保温性を得るためにグローブを厚手にすれば、その分操作性は損なわれてしまうからです。
ブラックダイヤモンドでは3種類のウィンタークライミング用グローブをラインナップしていますが、ドライツールグローブとディビエントグローブは操作性を重視した薄手のモデル、アイスグローブは保温性に優れるシェルグローブです。
●ドライツールグローブ
ミックスクライミングやアイスクライミングにトライする時には、より繊細なアックス操作や素早いアイススクリューのセットなどのほか、グローブでのロッククライミングにも対応しなくてはなりません。ドライツールグローブは、このようなテクニカルなウィンタークライミングのためのモデルです。
特徴の一つは、指先のデザインにあります(写真1、2)。耐久性とグリップ性に優れるレザーが爪を覆うように折り返されているので、縫い目がない分、指先の感覚が損なわれません。この点は、岩をホールディングする際の大きなメリットとなりますし、アイスギアの確実なハンドリングにも役立ちます。
またメイン生地は撥水性と防風性にも優れ、内側が起毛されているため保温性も確保しています。グローブ側面にはネオプレンパッドがあてられており、アックスを振り下ろす際に氷に当たりやすい部分を保護し、リーシュの圧迫による手首への負担を軽減します。
●ディビエントグローブ
ディビエントグローブは、リーシュレスのアイスクライミングコンペやオーバーハングした岩壁から氷柱に乗り移るような高難度のミックスクライミングに挑むクライマーのために、操作性にもっとも重きをおいてデザインされたモデルです。
ドライツールグローブよりも更に薄い生地を使用しているため、保温性は劣りますが、フィット感がよく、素手に近い感覚でアックス操作ができます。小さなエッジにピックを引っ掛けて徐々に引きつけるようなムーブをこなす際、大きなメリットになります。また手の平や指先だけでなく、人差し指から親指にかけても滑り止めがあてられているため、ロープがたぐりやすく、シビアな体勢での素早いクリップに対応します。さらに、リストバンドが手首を2重につつみ込みしっかりフィットさせるので、アックス一本でルーフにぶら下がるようなムーブでグローブがずれてしまうのを防ぎます(写真4)。
また、グローブの大切な機能の一つ、手を保護する機能も忘れていません。親指と小指の側面にはネオプレンのパッドが使用されており、氷や岩に接触しやすい部分をプロテクトします。
●アイスグローブ
アイスグローブはウィンターシーズンの様々なクライミングに用いることができるインナーとアウターの一体型グローブです。
ドライツールグローブなどの一層構造のグローブと比べると厚手で操作性は劣りますが、3種類のラインナップ中で最も保温性に優れロングルートにも対応します。
特徴的なのは手の甲から手首にかけて斜めにデザインされたリーシュガイドです(写真5)。リーシュのズレを防ぎ、長いルートを登攀する際の手首への負荷を軽減します。
また、人差し指と中指はレザーが爪を被う様にデザインされており、スクリューピトンやカラビナなどの確実なハンドリングを助け、耐久性も高めています。他にも、氷に当たりやすい小指や薬指を保護するためのプロテクターなど、ウィンタークライミングのためのトータルな機能が充実しています。