テクニカルインフォメーション

縦走用アックスの特徴と用途

2005年時点の情報です

写真1:左からレイブン、レイブンプロ、レイブンウルトラ、ベノム
写真2:ベノムでダカーポジションをとる
写真3:細く絞り込まれたレイブンシリーズのヘッドデザイン(※写真はレイブンプロ)
写真4:レイブンプロとレイブンのヘッド比較
写真5:レイブンウルトラのスパイク部分
ステンレス製キャップ(左)とカラビナホール(右)
アイス&ミックスクライミングを除く積雪期の登山において、縦走用アックスは最も重要なアイテムのひとつです。ひとくちに積雪期登山といっても、標高の低い雪山ハイクから確実なアックスワークが求められる3000m級の稜線、比較的簡単なクライミングを伴うバリエーションルート、ゴールデンウィークの残雪期登山など内容は様々です。フィールドが異なればアックスに求められる機能も異なり、目的に適した道具を選ぶ必要があります。ブラックダイヤモンドでは様々なニーズに応える4種類の縦走用アックスをラインナップしています(写真1)。
●ベノム(写真1-d)
ベノムはクライミングアックスと縦走用アックスの機能をバランスよく兼ね備えたモデルで、一般的な縦走登山からクライミングの要素を含んだ雪稜/岩稜まで幅広く対応します。ベノムはクライミングに適した下記の機能を備えています。
・カーブドシャフト:ストレートシャフトよりピックの食い込みがよく、急傾斜の硬い雪面や氷壁にもしっかりと打ち込めます。また岩塔基部のトラバース等ではしばしばダカーポジションを用いますが、ベノムはヘッド近くでカーブしているので加重しやすく、ダカーポジションを取りやすいのも特徴です(写真2)。
・ロックダウンリーシュ(標準装備):リーシュに加重することで手首のループがしっかり締まります。滑りにくいラバーグリップとの組み合わせにより、しっかりした打ち込みをサポートします。
・交換式ピック:積極的なピックの使用を想定して交換式ピックを採用。消耗したらピックを交換することができます。
その他、厚手のグローブでも握りやすいヘッドデザインや、鋭く尖ったストレートスパイクなど、縦走用アックスとしての機能性も高く、歩行時の確実なアックスワークをサポートします。
●レイブン(写真1-a)
一般的な縦走登山に適したスタンダードモデルです。
レイブンプロやレイブンウルトラにも継承された細く絞り込まれたヘッドデザインは、厚手のグローブやオーバーミトンを着用していても非常に握りやすく、操作性に優れます(写真3)。これにより硬くしまった雪面でも、しっかり握りながら確実なアックスワークができ、ピッケルストップ時には素早く持ち替えができます。また、アッズは硬い雪面での足場カットも効率よく行える大きさです。
●レイブンプロ(写真1-b)
レイブンのヘッドとスパイクを小型化した軽量コンパクトなモデルです。
ヘッドを小型化(写真4)している分、ピッケルストップの制動力や足場カットの作業性はレイブンに一歩譲り、ピックやアッズを頻繁に使用しない比較的やさしい雪山や残雪期登山に適しています。また、アックスの作業性よりも軽さを優先したいベテランにもお勧めします。
●レイブンウルトラ(写真1-c)
バックカントリーツアーに適したブラックダイヤモンド最軽量アックスです。
バックカントリーではアックスの使用は稜線上などに限られ、パック内側に収納したり、外側に括りつけていることの方が多いので、レイブンウルトラのような軽量コンパクトなモデルが適しています。レイブンウルトラはシャフトを45°にカットしたスパイクデザインを採用し、硬い雪面にも有効な貫通力を確保しつつ、レイブンプロより軽く仕上がっています。またステンレス製キャップ(写真5-左)をはめ込むことで、シャフト内部が凍り付くことによる重量増加や錆を防止しています。クリップ用のカラビナホールが付属します(写真5-右)。