テクニカルインフォメーション

クライミングスキンの特徴と選び方

2008年時点の情報です

抜群の登高性能を発揮するブラックダイヤモンド社のクライミングスキンは、グルー(接着剤)の接着力、耐久性、滑走性に優れ、安心かつ軽快にスキーツアーを楽しむことができます。ここでは「アセンション」と「グライドライト」という2つのシリーズの違いや固定システムの特徴など、自分のスキーやスタイルに合ったクライミングスキンを選ぶ目安を紹介します。
2つのシリーズ
■耐久性のアセンション・シリーズ
シーズン当初から残雪期までフルにツアーに出かけるようなヘビーユースに対応します。ラミネート(芯材)には厚いものを採用していていますので、折り畳むと若干かさ張るというデメリットはありますが、生地本体の耐久性に優れ、ザラメや硬い雪質で優れたグリップ性能を発揮します。アセンションは、携帯性よりも耐久性を重視する方に最適です。
アセンション・シリーズ アセンションの断面イメージ
■携帯性のグライドライト・シリーズ
残雪期の使用がメインというようなツアーでの使用頻度が比較的少ないライトユースにもおすすめです。ラミネート(芯材)にはアセンションスキンよりも薄いものを採用していているため、しなやかなハンドリングが可能で軽量かつコンパクトに畳むことが出来ます。グライドライトは、携帯性と滑走性を重視する方に最適です。
グライドライト・シリーズ グライドライトの断面イメージ
固定システムの特徴
「アセンション」と「グライドライト」には、それぞれ3種類のテール固定システムがラインナップされています。スキーテール形状との相性、固定強度、軽さ、着脱のスピーディーさを考慮し、使用目的に最適なモデルをお選びいただくことができます。
■STS
エラストマー製ストラップに装着したフックをテールに固定します。多様化するスキーテールの形状にもある程度対応します。グルーの接着力が弱まった場合もテール部分の固定をサポートしてくれます。
■クリップフィックス
ステンレス製のクリップでクライミングスキンに均一なテンションをかけながらしっかりと固定します。グルーの接着力が弱まった場合もクライミングスキンにかかったテンションが固定をサポートしてくれます。
■スタンダード
テールに固定用フックが無いため、軽量でスピーディーな着脱が可能です。また、どんなスキーのテール形状でも取り付けることができます。
固定システムとスキーテール形状との相性
昨今主流となっているツインチップスキーにはテールの立ち上がりが大きいものやラウンドのきついモデルがあり、テール固定システムとの相性によってクライミングスキンの性能を十分に発揮することができませんので、注意が必要です。
■STSの注意点
・テール形状によっては固定フックがぴったりとフィットしない場合があります。
・テールの立ち上がりが大きいスキーに取り付けた場合、ストラップ取り付け部のパーツ(A)が雪面と干渉して滑走抵抗が増すことがあります。また、固定フック(B)が雪面からより高い位置にくるため、固定フックがブッシュ等に引っかかったり、キックターン時にスキーと干渉したりして、クライミングスキンが剥がれたり固定フックを紛失したりする可能性が高まります。
・ラウンドのきついモデルに取り付けた場合、固定フックが左右にずれやすくなり、クライミングスキンが剥がれたり固定フックを紛失したりすることがあります。
■クリップフィックスの注意点
・テール形状によっては固定クリップがぴったりとフィットしない場合があります。
・テールの立ち上がりが大きいスキーに取り付けた場合、本来クライミングスキン全体に均一に伝えるべきテンションが、固定クリップ取り付け部分(C)に集中し、クライミングスキンの固定をサポートする力が低下したり、固定クリップ取り付け部分が破損したりすることがあります。
■スタンダード
シンプルな構造は、どのようなテール形状にも影響されることがなく、正常に取り付けることができます。
テールの立ち上がりが大きいスキーとSTS
テールの立ち上がりが大きいスキーとクリップフィックス
テールの立ち上がりが大きいスキーとスタンダード
適合範囲の大きいSTS
長さについて

ブラックダイヤモンドのクライミングスキンは、どのモデルもカットする前は約200cmの長さがありますが、ティップループを固定するために10cmの折り返しが必要なため最大長は約190cmになります。クライミングスキンの対応できる実際のスキー長は、テール固定システム、スキーの実寸、トップとテール形状により変わります。長さが190cm以上のスキーで使用することをお考えの場合は、事前にクライミングスキンをスキーに沿わせるなどして、正しく装着することが可能かどうかをご確認ください。

アセンション・ナイロンカスタムSTSは、あらかじめ決められた長さにティップループを固定し、長さのトリミング作業を不要にしたモデルです。08~09モデルではスキー長155~192cmまでをカバーする全6サイズ(130mm幅は4サイズ)をラインナッブしています。それぞれのサイズには約7cmのスキー長の適合範囲があり、スキー長がその範囲内であれば正常に取り付けることができます。

幅について

クライミングスキンの幅はスキートップサイズ(最も幅の広い部分)から0~10mmを引いた値が目安となります。例えば、スキートップが130mmのスキーには幅120~130mmのクライミングスキンが適しますが、このスキーに幅120mmのクライミングスキンを装着すると、スキートップの左右に5mmずつ滑走面が露出することになります。
スキーの幅に対して細すぎるクライミングスキンを装着した場合、トップだけではなくテールの滑走面も大きく露出しますが、このような状態で斜面をトラバースすると特にスリップしやすくなりますので注意が必要です。

適正な幅のクライミングスキン トップ側の滑走面が大きく露出した状態 テール側の滑走面が大きく露出した状態
トリミングについて

現在クライミングスキンは購入後にスキーのサイドカットにあわせてトリミングするモデルが主流となっています。クライミングスキンの性能をしっかりと引き出すために、製品に付属しているトリムツールを使用し、取扱説明書の「サイドトリムの方法」に従って正しくトリミングしてください。