テクニカルインフォメーション

クライミングハーネス使用上の注意

2008年時点の情報です

ハーネスはクライマーにロープを接続する重要な役割を担っており、間違った使い方をすると致命的な事故に繋がるおそれがあります。ハーネスを安全に使うためにチェックすべき項目は数多くありますが、ここでは最も基本的な注意点をご紹介します。
●シングルバックルは正しく折り返してありますか?
シングルバックルのモデルでは、バックルが正しく折り返されていることを必ずチェックして下さい(写真1)。折り返し忘れた場合(写真2)、荷重時にバックルが一気に緩み、致命的な事故に繋がるおそれがあります。
写真1:正しく折り返されたシングルバックル
写真2:バックルの折り返し忘れ
●二重バックルが不意に緩んでいませんか?
二重バックル(写真3)は折り返しの必要が無くスピーディーに調整できる機構ですが、荷重を抜いた状態でバックルに引き起こす力を加えると緩むことがあります(写真4)。バックルが不意に緩んでいないか、使用中も常にチェックして下さい。
写真3:二重バックル
写真4:荷重を抜いた状態で引き起こす力を加えると緩んでしまう
●ウェビング末端の長さは十分ですか?
ウェストベルト/レッグループを問わず、バックルから8cm以上のウェビング末端を確保して下さい(写真5)。十分なウェビング末端を確保できない場合、そのハーネスは小さすぎます。
写真5:十分な末端を確保した例
●ロープは正しく結びつけてありますか?
ロープはハーネスのタイインポイントに直接結びつけて下さい(写真6)。写真7~11のような結びつけ方は絶対にしないで下さい。このような結びつけ方をすると致命的な事故に繋がるおそれがあります。特にロッキングカラビナを使った接続(写真11)はトップロープ等で良く見受けられますが、この方法が許されるのはレスキューにおいて遭難者にロープを接続する場合のみです。
写真6:正しい結びつけ方
写真7:×タイインループのみ
写真8:×レッグループ連結部のみ
写真9:×ビレイループに接続
写真10:×ギアラックに接続
写真11:×ロッキングカラビナを使った接続
●その他の注意点
製品に付属している取扱説明書を熟読し、内容を十分に理解して下さい。ハーネスを装着する時やロープを結びつける時は十分な注意を払い、一連の作業を完璧に覚え込んで下さい。作業中は他のことに気を取られないようにして下さい。装着後も全てのバックルとロープの結び目を常にチェックして下さい。ハーネスの生地、縫い目、バックル等に傷みが見られる場合は使用を止めて新品に買い換えて下さい。