テクニカルインフォメーション

クランポンの選び方とフィッティング

2009年時点の情報です

今シーズン、材質、デザインとも一新したブラックダイヤモンド・クランポン。防錆性、耐久性に優れるステンレスを採用し、より洗練度を高めました。ここではクランポンの選び方とフィッティング、簡単なメンテナンスについてご紹介します。


1.クランポンの選び方

○固定方式による選び方
ブラックダイヤモンドクランポンはブーツへの固定方式の違いにより、プロ(ワンタッチ)、クリップ(セミワンタッチ)、ストラップの3種類に分類されます。ブーツ対応表を見て、ご自分のブーツに装着できる固定方式をお選び下さい。

ブーツ対応表


○用途による選び方

各クランポンの適した用途は用途表をご覧下さい。表中のA~D(用途)は下記の通りです。
A:スノートレッキング
B:氷河歩き、一般登山
C:中級までのウィンタークライミング
D:高難度のアイス/ミックスクライミング

用途表


2.フィッティングの手順

ここではプロバージョンを例にとってフィッティングの手順を紹介します。フィッティング中はクランポンの刃で手を傷つけないように注意して下さい。

写真1:クランポンの左右を確認して下さい。クランポンを地面に置いて上から見ると、センターバーの足マークの向きで左右を確認できます。

写真2:アンクルストラップのバックル位置でも左右を確認できます。バックルがクランポンの外側に位置していることを確認して下さい。

写真3:ブーツの爪先にトーベイルをセットして下さい。コバのカーブとトーベイルのカーブがフィットしていることが大切です。

写真4:クランポンの長さを調整します。調整クリップを引き上げ、リアレールを前後にスライドさせて下さい。

写真5:クランポンの長さは、クランポン後端とソール後端が一致するか、わずかに短いくらいが適正です。

写真6:クランポン長が長すぎると、クランポン後端がソール後端からはみ出してしまい、がたつきが生じて歩きにくくなります。

写真7:マイクロアジャスターを回転させて、ヒールレバーの固定強度を調整して下さい。

写真8:ヒールレバーをかかとのコバに押し当てて、完全に引き起こして下さい。固定強度が弱い時は一旦外し、マイクロアジャスターで再調整して下さい。

写真9:アンクルストラップをトーベイルに通して折り返し、バックル締めして下さい。末端は邪魔にならない程度の長さを残してカットして下さい。


○トーベイルの取付位置変更
(プロバージョンのみ)

コバの深いブーツに装着する場合は、フロントポイントの突き出し量が少なくなるので、トーベイルの取り付け位置を後ろに下げる必要があります。トーベイルの取り外しは、スリング等をトーベイル根本に巻き付け(写真10)、刃をブーツで押さえながら引っ張ると楽に行えます(写真11)。取り付けも同様の方法で行います。

写真10

写真11


○ヒールベイルの取付位置変更

新しいサイボーグとセラックでは、ヒールベイルの取付穴が2箇所になりました(写真12)。ヒールベイルとブーツのヒールカップがフィットしない場合は、取付位置を変えることでフィットさせることができます。

写真12


○アシンメトリカルセンターバー(別売)への交換

ソールのカーブが強いブーツにクランポンを取り付ける場合は、アシンメトリカルセンターバー(写真13)への交換を推奨します。強くカーブしたソールにもフィットさせることができます(写真14)。

写真13

写真14


○フレックスセンターバー(別売)への交換

ミッドソールが柔らかいトレッキングブーツにクランポンを取り付ける場合は、フレックスセンターバー(写真15)への交換を推奨します。フレックスセンターバーは薄い鉄板を2枚重ねにした構造で、しなやかかつ復元性に優れます(写真16)。

写真15

写真16


○モノポイントへの切り替え
(サイボーグ)

サイボーグは同梱の切り替えパーツを使って、デュアルからモノへ切り替えることができます(写真17)。ただし、モノに切り替えると、そのままではABSを装着できません。フロントポイントが当たる部分(写真18:青線)を糸鋸でカットする必要があります。

写真17

写真18


class="title">3.メンテナンス
使い込んで摩耗したクランポンの刃(写真19左)は鋭く研ぎ直して下さい(写真19右)。研ぐ際には平ヤスリを使用して下さい(写真20)。ステンレスは硬いので、ステンレス用もしくは難削材用の平ヤスリがお勧めです。グラインダーは焼きが戻り金属が弱くなるので使用しないで下さい。

写真19

写真20