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縦走用アックスの特長と選び方

2013年10月07日時点の情報です

積雪期登山において縦走用アックス(ピッケル)は最も重要なアイテムのひとつです。アックスには雪上でバランスを取る、滑落停止や耐風姿勢を取る、ピックで急斜面を登る、足場カットや整地を行う、などの様々な役割があります。ここではブラックダイヤモンド縦走用アックスの特長と選び方について解説します。
各モデルの特長
ピック
大型かつ鋭利で、急斜面に対する打ち込み力や滑落停止時の支持力に優れます(写真1)。
アッズ
ブラックダイヤモンド縦走用アックスで最も大きく、足場カットやビバークサイトの整地など作業性に優れます(写真2)。
ヘッド
ヘッド根本は細く絞り込まれており、厚手のグローブやオーバーミトンを着用してもしっかりと握ることができます(写真3)。
ヘッド
レイブンプロのヘッドはレイブンのヘッドよりも一回りコンパクト(写真4)。
スパイク
レイブンプロのスパイクは、レイブンのスパイクより一回りコンパクト(写真5)。
アングルドスパイク
レイブンウルトラはレイブンプロのシャフト下部を斜め45度にカットしてコンパクト化。スパイク部分には雪の浸入を防ぐステンレス製キャップとカラビナホールを備えています(写真6)。
ベノム専用ピック
クロモリ製の鋭利なピックを採用。硬く締まった雪にもしっかりと打ち込めます。消耗したピックは交換可能。オーソドックスなクラシックピックと、急斜面に刺さりやすいテックピックの2タイプ(写真7)。
ベノムハンマー
アッズモデルの他に、ハンマーモデルをラインナップ。岩場でピトン(ハーケン)を打つシチュエーションにも対応(写真8)。
カーブドシャフト
シャフト上部が緩やかにカーブしており、急斜面や氷雪壁で要求される、ヘッド根本を握るポジションを楽に取ることができます(写真9)。
用途による選び方
・本格的な縦走登山にはレイブンがお勧めです。大型で鋭利なピックは、急斜面の登高力や滑落停止時の支持力に優れます。また、ラインナップ中、アッズが最も大きく、足場カットやビバークサイトの整地など、雪山での作業性に優れます(写真10)。
・少しでも軽量化を図りたい山行や、雪渓歩きや簡単な雪山などピックやアッズを頻繁に使用しない場合には、レイブンプロがお勧めです。但し、支持力や作業性の面ではレイブンには及びません。
・スキー/スノーボードツアーなど、アックスの使用頻度が限られていたり、「念のため」携帯するようなケースには、最軽量モデルのレイブンウルトラがお勧めです。
・急斜面や氷雪壁など、クライミング的要素が出てくる山岳には、ベノムがお勧めです。ピックの打ち込み力、急斜面での持ちやすさ、ハンマーモデルがあるなど、テクニカルな機能が充実しています。
サイズ選び
一般的な縦走
アックスを持ち、石突きの先端がくるぶしの辺りにくる長さが基本となります(写真11)。この長さは1本で様々な用途に対応できるので無難な選択です。緩やかな山がメインで、杖としての機能を優先したい場合はこれより長めを、急傾斜の山がメインならばこれより短めを検討してみましょう。
スキー/スノーボードツアー
スキー/スノーボードツアーでは、急斜面での取り回しや収納性の良い、短めのサイズがお勧めです。
急斜面や氷雪壁を含む山岳
急斜面や氷雪壁が現れる急峻な山岳向けに選ぶ場合は、急斜面での取り回しを考えて、縦走向けよりも短めを選ぶのがよいでしょう。縦走との兼用を考えて長めにすると、急斜面で使いにくくなります。