テクニカルインフォメーション

テレマークバインディング、押しバネと引きバネの違い

2002年時点の情報です

  1. 押しバネ式(カートリッジの内部):
踵を上げるとスプリングが縮む
 
  2. 引きバネ式:
踵を上げるとスプリングが伸びる
 
  3. 引きバネ式のスプリングが元に戻らなくなった状態
最近のテレマーク用バインディングの傾向として、スプリングがシリンダーに覆われたカートリッジタイプ(押しバネ式)が増えています。ブラックダイヤモンド社でも今シーズンはO2(オー・ツー)、リーバZコンプをラインナップしています。従来からあるリーバZやチリのような、スプリングがむき出しのタイプ(引きバネ式)と比較してどのような特徴があるのかをご紹介しましょう。
 
まず、基本的なことですが、押しバネ式はケーブルにテンションがかかる(踵を上げる)ほどスプリングは縮められ、引きバネ式は逆に伸ばされます。例えば、O2でブーツヒールが上がった時のシリンダー内では、写真1のようにスプリングは縮んでいます。
 
この押しバネ式のメリットは、シリンダー内のスプリングがフルストロークするまで一定のバネレートでテンションがブーツにかけられることにあります。また、転倒などで不意な外力がケーブルに伝わってもストローク内であればスプリングへのダメージが少ないと言えます。
 
これとは逆に引きバネ式は、写真2のように強くテンションがかかるとスプリングが伸ばされるので、踵を上げるほど固く感じます(正確には、曲がる支点とヒールベイルの距離が遠くなるほど固く感じます)。また、写真3のようにスプリングの限界を超えるほど伸ばされてしまうとバネレートが変ってしまう(スプリングが元に戻らなくなる)こともあります。
 
さて、ここまでの説明では押しバネ式の方が優れていると思われがちですが、一概にそうとも言えません。引きバネ式のメリットとしては、何より構造がシンプルでパーツ点数が少ないことにあります。シンプルでパーツが少ないということはトラブルを招く要因が少ないことを意味します。さらに押しバネ式の製品に比べ軽量で値段が安いことも見逃せません。スプリングの違いを理解した上でご自分のスキースタイルに合わせて選択すると良いでしょう。