テクニカルインフォメーション

カラビナの強度

2003年時点の情報です

 
図1  左:メジャーアクシス荷重
右:マイナーアクシス荷重(危険!!)
 
 
図2  左:オープンゲート荷重(危険!!)
右:三方向荷重(危険!!)
 
 
3. テコの力による荷重(危険!!)
  左:カラビナのノッチがハンガーに引っかかった状態
  右:岩角をまたいだ状態

カラビナには「破断強度」が刻印されています。これはその大きさの荷重が加わるとカラビナが壊れることを表しています。その強度まで耐えられるという意味の「許容強度」ではありません。カラビナはメジャーアクシスに沿った二方向に荷重されたとき最も高い強度があります。(図1.左) それ以外の荷重にはとても弱く、表示強度のはるか手前で破断してしまいます。


クライミング中はカラビナの向きに注意を払い、メジャーアクシス方向以外に荷重しないことが重要です。

●メジャーアクシス荷重(図1.左)
カラビナが最も強度を発揮する荷重方向です。常にこの方向に荷重が加わるように心がけて下さい。
●マイナーアクシス荷重(図1.右)
カラビナが最も苦手とする荷重方向です。クイックドローのカラビナが、ロープの流れでずれたときに発生します。クライミング中には、この荷重方向になっていないか常に注意して下さい。衝撃荷重はもちろん、静荷重でもマイナーアクシスに荷重しないで下さい。
●オープンゲート荷重(図2.左)
ゲートが開いた状態でメジャーアクシス方向に荷重されると、本来の強度の半分以下でカラビナは破断します。ボルトハンガー側のカラビナゲートが岩と干渉して開いたり、 墜落時の振動によりカラビナのゲートが一瞬開いた状態(ウィップラッシュ現象)のときに発生します。
●三方向荷重(図2.右)
ビレイポイントなどで1枚のカラビナに2本のスリングをかけてセルフビレイを取ったときに起こります。三方向荷重でもカラビナは低い強度で破断します。
●テコの力による荷重(図.3)
カラビナが岩角をまたいだ状態で荷重されたとき(図3.右)や、カラビナのノッチがボルトハンガーに引っかかった状態で荷重されたとき(図3.左)に起こります。