テクニカルインフォメーション

カラビナへのロープの通し方

2003年時点の情報です

1.正しいクリップの状態
 
2.誤ったクリップの状態(逆クリップ)
 
3.逆クリップによりロープがはずれることも
 
 
4.左:クイックドローの正しいセット
右:クイックドローの誤ったセット
カラビナはクライマーの墜落を止める重要なギアですが、ロープの通し方(クリップ)などを間違えると、思わぬ怪我をまねいたり、最悪の場合死亡事故に至る危険すらあります。ロープは、正しくカラビナへクリップしなければなりません。
<正しいクリップの状態>(図1)
ロープが正しくクリップされている状態は、図のようにカラビナの背後(岩とカラビナの間)からロープが通り、カラビナの前面に抜けている状態です。
<誤ったクリップの状態>(図2)
図2は誤ってクリップされている間違った状態です(「逆クリップ」と呼ばれる)。ロープは、カラビナの前面から通り、カラビナの背後(岩とカラビナの間)に抜けています。
一見大差ないように見えますが、この状態で墜落すると、図3のように墜落によって折り返されたロープがカラビナのベントゲートにひっかかり、ゲートを開いてしまうおそれがあります。ゲートが開くとロープのクリップは解除され、墜落距離が延びて思わぬ怪我をしたり、最悪の場合地面まで墜落してしまう(グラウンドフォール)おそれがあります。
<クイックドロー(ヌンチャク)のクリップの違い>
図1と図2では、ロープの通し方の違いを見てきました。図4左と図4右は、先のセオリーにのっとれば、どちらも正しくクリップされているように見えます。しかし、図4右は危険な例です。
両者の違いは、クライマー(ロープ)の進行方向に対するゲートの向きです。図4左は、進行方向に対してゲートは逆側を向いています。反対に図4右ではゲートは進行方向を向いています。図4右の状態で墜落すると、図3で示したのと同様に、墜落で折り返されたロープがベントゲートに引っかかり、ゲートを開いてしまうおそれがあります。
この場合、先の例のようなカラビナへのロープのクリップのしかたが問題なのではなく、ハンガー(ボルト)へのクイックドローのかけ方が問題となります。
クイックドローをハンガーへかける場合は、図4左のようにロープをクリップする方のカラビナのゲートが、進行方向と逆側を向くように注意してかけなくてはなりません。特に、斜上したりトラバースしたりするような状況でクイックドローをハンガーへクリップする場合は、図4左のようにセットするよう、細心の注意を払わなければいけません。
なお、例外として図4右のようにクリップする場合もあります。これは、クライミング中の素早いロープクリップを優先させる場合にあえて行うケースです。最終的にどのようにセットするかは、常にクライマー自身が判断しなくてはなりません。