テクニカルインフォメーション

クライミングスキンの選び方

2003年時点の情報です

写真1.固定方式の種類
 
写真2.クリップフィックスはスキンに適度なテンションが加わる
 
写真3.STSの固定
ブラックダイヤモンド社では、材質と固定方式が異なる数種類のクライミングスキンをラインナップしています。ここでは、クライミングスキンを選ぶ上でポイントとなる滑走面の材質と、スキーへの固定方式の違いについて解説します。
<スキーへの固定方式の種類>
スキンをスキーのテールへ固定する方式には、クリップフィックス(写真1-左)、STS(セキュア・タイト・システム、写真1-中)、スタンダード(テールフリー、写真1-右)の3種類があります。

A:クリップフィックス
クリップフィックスと呼ばれる金属クリップを備え、スキン全体に適度なテンションを加えながらテール側をしっかりと固定するタイプ。スキンの前後方向に向かってテンションを加えているので、斜面のトラバースなど横方向に強い力が加わる状況でもずれにくいのが特徴です(写真2)。また、グルーの接着力が弱くなってもずれないので、スキンをしっかりと乾かすことができないテント泊のツアーで威力を発揮します。

B:STS(セキュア・タイト・システム)
金属クリップとエラストマー(ゴム状素材)製ストラップを組み合わせたテールシステムで、登高中にスキンがテール側からはがれてしまうのを防ぎます。スキン全体をスキーに貼り付けてからテールを固定するので取り付けも簡単です(写真3)。金属クリップの位置を変えることでテンション調整も素速くできます。信頼性が高く扱いやすいので、バックカントリーツアーを始めたばかりの方にもお奨めできます。

C:スタンダード(テールフリー)タイプ
テール側に金属クリップを使わないシンプルな構造で、雪面抵抗が少ないので歩行、滑走性能に優れます。軽量コンパクトで携帯性が良いのも特徴です。歩行、滑走性能と、携帯性を優先したいスキーヤーにお奨めできます。
<スキンの材質の違い>
スキンの滑走面の材質にはナイロン製とモヘア/ナイロン混合の2種類があります。

A:ナイロン製
硬い雪面や春のザラメ雪は、新雪と比べると滑走時に摩擦熱や静電気が多く発生します。また、摩擦熱で雪を溶かすので多くの水分が発生します。ナイロンは摩擦熱や静電気に強く水分を吸収しにくいので、このような状況でよく使われる方にお奨めできます。また、ナイロン製スキンの毛足は固く寝ています。固い毛足は春のザラメ雪や硬い雪面での抜群のグリップを発揮し、寝ている毛足は雪面抵抗が少ないので滑走性に優れています。

B:モヘア/ナイロン混合
アンゴラ山羊の毛足から作られたモヘアは、毛足が柔らかく滑らかなので滑走性に優れます。また柔らかい毛足は雪面の奥まで毛が入り込むので新雪時のグリップに優れます。2003年モデルのモヘアスキンはナイロンを35%加えることで、モヘアの弱点であった耐久性や硬い雪でのグリップが向上しています。また、ナイロン製に比べ毛足が短いので軽量コンパクトで携帯性に優れます。モヘア/ナイロンタイプはパウダースノーを求めるスキーヤーにお勧めします。