テクニカルインフォメーション

ATCとエイト環の特徴と違い

2004年時点の情報です

写真1
 
写真2
 
写真3
 
 
写真4
現在クライミングに使用されている制動器具には様々な種類がありますが、代表的なものとしてブラックダイヤモンド・ATCとエイト環の2種類があげられます。両者ともビレイと懸垂下降の両方に用いることができますが、ATCは確保器具として、エイト環は懸垂下降器として適しています。
●ATC
ATCはロープを同一平面内で屈曲させて制動力を得るように設計されており、(1)「ロープキンクが起きにくい」、(2)「ロープの繰り出しや巻上げをスムーズに行うことができる」、(3)「ロープを流さず直ぐに墜落を止めることが出来る」などの特徴をもちます。(1)はビレイと懸垂下降の両方にメリットですし、(2)と(3)は素早いロープ操作と的確な制動が必要なスポーツクライミングのビレイに適しています。
ダブルロープ使用時には、ロープをATCの二つの穴に一本づつ通すため、どちらか一方のロープを独立して操作することができ、アルパインクライミングのビレイにも適しています(写真1)。
●エイト環
懸垂下降では、ロープをエイト環の大きなリングに通してからネック部分に掛けて使用します(写真2)。ATCより大きな制動力が得られ、緩急のコントロールを微妙に調整できます。また、適切な方法で仮固定すれば少ない力でラッペル途中に留まることができます(写真3)。これらの特徴は、特にアルパインルート下降時の大きなメリットとなります。夜間の懸垂下降や未知の下降ルートではルートファインディングしながら徐々に下降しなくてはなりませんし、途中でランナーをとったり引っかかったロープを直すしたりする作業が必要になるからです。ATCなどの確保器具を紛失した場合には、ロープをエイト環の小さい方の穴に通してビレイプレートとして使用することも出来ます(写真4)。