テクニカルインフォメーション

ピックのバリエーション - 目的にあわせた選択

2004年時点の情報です

1.上から、ティタン、レーザー、フュージョン
2.フュージョンピックの使用例
3.レイジとアラスカピックの組み合わせ
4.CEN刻印
<レーザーピックとティタンピックの違い>(写真1)
ウォーターフォール(氷瀑)、氷柱などのアイスクライミングにはレーザーピックをお勧めします。薄い先端は氷表面を砕くことなくスムースに刺さります。ラウンドさせたノーズと、より鋭利に研いだピック先端上部によって、ピックを抜く際の抵抗が少なく抜きやすくなっています。ただし消耗の激しいアルパインクライミングや、トルキングなどピック先端に高い負荷のかかるミックスクライミングでの使用には注意が必要です。
冬壁やアルプスのミックスルート等、アルパインクライミングにはティタンピックをお勧めします。アルパインルートでは、ベルグラやテクニカルなミックス壁などアイス、ミックス両方のパフォーマンスが求められます。ルートに滞在する時間も長くなりピックの消耗も激しいため耐久性も要求されます。
ティタンピックはアイス、ミックスクライミングのどちらにも定評があり、さらにレーザーピックよりも厚みがあるため、強度、耐磨耗性に勝っています。アイスクライミングでの性能はレーザーピックに一歩譲りますが、パフォーマンスと耐久性のバランスが最も良いオールラウンドに使用できるピックです。
<フュージョンピック~究極のドライツール>
限界を知らない現代のミックスクライミングシーン。そのニーズに応えたピックがフュ―ジョンピックです。鋭利なアングルのピック先端は、極小エッジや外傾ホールドのフッキングでの安定性を高めています。ヘッド付近のギザギザは、アンダークリングの際に岩と接するヘッドのフリクションを高め、ムーブをより安定させる効果があります。(写真2) またレーザーピックよりも厚みがあり、トルキングの際にピック先端にかかる高い負荷も考慮されています。
<アラスカピック~極地のハードアイスを知るピック>
アラスカ、ヒマラヤ、冬のカナダやパタゴニアでは、日本では経験できないほどのハードなアイスに出遭うことは稀ではありません。アラスカピックはそうしたアイスに対応できるよう、スイング時の遠心力をピック先端に最も効率良く伝えるよう、ストレートな形状にデザインされています。(写真3) また国内のクラッシックなアルパインルートでの使用で、「凍った草付きや硬い雪壁での刺さり、抜き具合が良かった」との声もあります。
*CEN-T、CEN-B刻印について(写真4)
アイスツール用のピックは、ピック先端2.5センチを万力で固定し、トルクをかける強度試験が行われます。レーザー、フュージョンはパフォーマンスを重視して比較的薄くデザインされていますが、この試験をクリアしています。ティタン、アラスカはよりハードな使用を想定し、さらに高い負荷を掛けた強度試験(ピックを万力で固定し、前後に80KNの力でトルクを掛け続け、50,000回以上耐えられるかチェック)が行われています。それぞれの試験をクリアした証として、レーザー、フュージョンは” B”、ティタン、アラスカは”T”の刻印がされています。
<フィールドに合わせたピック、アクセサリーの組み合わせ>
バイパー、レイジを例に、アックスの活用範囲をより広げる組み合わせをご紹介します。
例)オールラウンドなレイジで、高難度なウォーターフォール、氷柱にトライする
→・標準装備のティタンピックをレーザーピックに交換
 ・リーシュには片手で手首の出し入れが可能なロックダウンリーシュをアレンジ
例)高難度アイス用のバイパーをアルパインクライミングに使いたい
→・標準装備のレーザーピックをティタンピックに交換
 ・リーシュにはロボリーシュを使用