テクニカルインフォメーション

進化したキャメロット - より使いやすくなったキャメロットC4

2005年時点の情報です

1.Cループステム
2.Cループステムを利用したギアラックからの外し方(写真左から右)
3.トリガー操作の違い。従来のキャメロットはステム末端に親指を当てる(写真左)
4.Cループの使用例:エイダーのカラビナを直接クリップして高さをかせぐ。
5.キャメロットC4のスリングを非常時にクイックドローとして使用した例
多くのクライマーに支持され続けているカミングディバイスの代名詞・キャメロットが2005年春にフルモデルチェンジし、名称を「キャメロットC4」と改めました。ここではモデルチェンジのポイントとそのメリットを具体的にご紹介します。
●軽量化と構成パーツの精度向上
カムの肉抜き形状を変更し、各サイズ平均約20%軽くなりました。これは従来のキャメロットと#0.4~#5のセットで比べた場合、実にカラビナ約7枚分に相当する大きな軽量化です。
また、カムにかかるワイヤーの角度など細部にわたり各パーツの精度を高めたことにより、トリガーを引く動作が格段に軽くスムーズになりました。
これらの軽量化やスムーズな操作性は、手にとって試すとすぐに実感できるほど進化しており、大量のギアを持ち運ぶビッグウォールやシビアなセッティングが要求される高難度のクラックルートでクライマーの大きな助けとなります。
●Cループステムの採用
ステムは1本のワイヤーを折り返し、スリングのかかる部分がループ状になるデザイン=Cループステム(写真1)に改良されました。
従来のキャメロットはギアラックから外した後、いったんトリガーを引く形に持ちかえてからセットする必要がありました。キャメロットC4なら、あらかじめトリガーを引く形を作ってから外すことができるので(写真2・左→右)、すばやいセットが可能です。この方法を用いれば、持ちかえによりギアを落とすといった決定的なミスを犯しにくく、より安全でスピーディーなクライミングができます。
また、従来のキャメロットはステムの末端に親指を当ててトリガーを引くため(写真3・左)、パンプが激しいと親指をうまく当てることができずセットに失敗することもありましたが、キャメロットC4はCループに親指が入ってしまえばトリガーを引くことができるので、より確実な操作が可能です(写真3・右)。
素早く確実なセッティングをサポートするキャメロットC4は、プロテクションセットで力を消耗するクラックのフリークライミングでも、エイダーの最上段に乗り不安定な体勢のまま腕を伸ばしきってセットするようなビッグウォールのピッチでも、大きなアドバンテージをクライマーに与えてくれます。
Cループへは直接カラビナをかけることもできますから、エイダーをセットする時などはカラビナ約1枚分の距離がかせげます(写真4)。カラビナ1枚分というと小さいようですが、実際のエイドクライミングで「あと数センチで次のセッティングポイントにとどく」という場面はしばしばあります。
●ソウンスリングの改良
スリングはCループに二重にかかるようにデザインされ、スリングの回転を防止し摩耗に対する耐久性が向上しています。
また、非常時にはクイックドローのように使用することもできますが(写真5)、この場合キャメロットC4が岩壁やロープと干渉しないように注意して下さい。