テクニカルインフォメーション

クライミングスキン保管上の注意

2005年時点の情報です

写真1: 左=スタンダードスキン、右=STSスキン
写真2: スキー板滑走面に残ったグルー
写真3: クライミングスキン装着前にスキー板の水分を拭き取る
写真4: フリーグライドGTXスプレー
写真5: グロップストッパーワックス
バックカントリースキーを楽しむ際に欠かせないアイテムにクライミングスキンがあります。クライミングスキンにとって、滑走性や雪面のグリップの性能に直接影響する、ナイロンやモヘアといった滑走面の素材と同様に、グルー(接着剤)の性能が重要です。
ブラックダイヤモンド社のアセンション、グライドライトシリーズのクライミングスキン(写真1)は、耐久性に優れた強力な接着力のグルーを採用しています。しかし、保管方法を誤るとグルーがドロドロ状になり、ツアー中にトラブルが発生したり、使用が出来ない状態になることがあります。グルーがドロドロ状に変質した場合はクライミングスキン全面のグルーリニュー(貼り替え)が必要となります。このコンテンツでは症例と原因、そうならないための対策を紹介します。
●症 例
前回使った時には問題なく接着力を発揮していたグルーが、いざ使おうと思ってスタッフバッグから取り出してみると糸を引くようにドロドロ状になってしまっている。スキー板に装着してハイクアップすることは出来たが、剥がしてみるとグルーがスキー板滑走面にベッタリと貼り付き残ってしまった。(写真2)
●原 因
クライミングスキンを使用すると、摩擦熱により表面の雪が融けて水になりスキン滑走面(毛の方)から芯材まで濡れ、グルーが水分にさらされます。水分を嫌うグルーですが、一時的に濡れることは問題ありません。ただし、濡れたままスタッフバッグに入れて保管したり暖かい場所に放置すると、クライミングスキンを蒸らすような状態となり、グルーがドロドロ状に変質してしまう可能性があります。特に、直射日光のあたる場所や暖かい日のクルマの中に放置すると、その可能性が高まります。
●対 策
グルーをドロドロ状に変質させないためには、クライミングスキンを濡れたままにせず、良く乾燥させてから保管することが重要です。クライミングスキンは滑走面(毛の方)が乾いていても、乾きにくい芯材はまだ湿っている場合があります。クライミングスキンの使用後は、室内で数日以上の自然乾燥を行い、芯材まで完全に乾燥させてからスタッフバッグに入れて冷暗所で保管してください。また、乾燥にはストーブやドライヤーなどを使用しないでください。
数日に及ぶツアー山行では、一日の行動が終了するたびにクライミングスキンを完全に乾燥させることは難しいため、クライミングスキンを極力濡らさないようにすることが重要です。使用前にスキー板滑走面の水分を拭き取ったり(写真3)、使用後にクライミングスキン滑走面(毛の方)の水分を拭き取ったりしてください。また、クライミングスキンの濡れを抑えるために、フリーグライドGTXスプレー(写真4)や、グロップストッパーワックス(写真5)で撥水処理を施すことをおすすめします。