テクニカルインフォメーション

ATCシリーズの特徴

2008年時点の情報です

1992年、チューブ型ビレイ/ラッペル兼用器の決定版として登場したATC (Air Traffic Controller:航空管制官)。
優れた基本設計によりビレイディバイスの定番として愛され続けています。2003年にはデュアルフリクションモード搭載のATC-XP、2006年にはガイドモード搭載のATCガイドと発展し、2008年はシングルロープ専用のATCスポーツが登場しました。今回はATCシリーズ4機種の特徴と違いをご紹介します。
○ATCシリーズ 機能一覧
RFM:通常のビレイモード
HFM:RFMの3倍の制動力を発揮するビレイモード
ATC
軽量コンパクトかつ操作性に優れ、スポーツからアルパインまで幅広く対応する汎用性を備えたベーシックモデル。50gと軽量で、BD最軽量のベイパーロックカラビナと組み合わせると、標準的なクイックドロー1本分の重量です(写真1、2)。
写真1、2:ATCとベイパーロックカラビナの組み合わせは、標準的なクイックドロー1本分の重さ
ATC-XP
2つのフリクションモードを選べるデュアルフリクションモードを初めて搭載したモデル。HFM(ハイフリクションモード:写真3)はRFM(レギュラーモード:写真4)の3倍の制動力を発揮し、体重差のあるビレイ、細径ロープのビレイ、空中懸垂などに効果的です。また、操作性の向上とキンク防止のため、ATCよりも中央の仕切り板が拡張されています(写真5、6)。ATC-XPは優れた制動力を活かしてスポーツ、トラッド、マルチピッチなどフリークライミング全般に適しています。
写真3:HRM 写真4:RFM
写真5、6:ATC-XPの中央仕切り板はATCよりも拡張されている
ATCガイド
ATC-XPをベースに、2人の後続クライマーを同時に確保できるガイドモード(写真7)を追加したオールインワン・モデル。全ての機能が集約されている分、単体で102gとやや重くなっています。アルパイン、マルチピッチクライミングの割合が多く、1つのビレイ器で全てをこなしたい方にお勧めします。ATCガイドの使い方については、サポートページ「ブラックダイヤモンド ATCガイドの使用方法」をご覧下さい。
写真7:ガイドモード
ATCスポーツ
ATC-XPをベースに、シングルロープ専用にデザインしたモデル。ATC-XPの半分程度の薄さ(写真8)で、手の平に馴染むコンパクトさです(写真9)。また、ロープを通す穴をわずかに拡張して操作性を高めており、スポーツ/ジムクライミングのビレイ専用器として抜群の使い易さを誇ります。
※ATCスポーツではラッペル機能が省略されていますが、スポーツクライミングといえども懸垂下降の場面は意外と多いものです。壁の規模が大きなエリアでは必ず下降器も携帯して下さい。

写真8 写真9
※注意:ビレイ中は不意の墜落、衝撃の大きい墜落などにより、ロープが急激に流れる場合があります。ハイフリクションモードであっても過信せず、いかなる場合もブレーキハンドをロープから離さないで下さい。また、確実なグリップのため、グローブの着用をお勧めします。