冬季登山用グローブの選び方
防水性、保温性、構造など様々な違いがある積雪期登山用のグローブ。種類が多く、目的に合ったグローブ選びに迷ってしまいがちです。基本的には対応温度域でグローブを選びますが、対応温度域が重複するグローブがあった場合、どちらを選ぶべきかやはり悩んでしまいます。
そこで、ここではまず各グローブ一覧表を掲載し、山域や時期に合った対応温度域でグローブ選びをしやすくしました。
対応温度域が重複したグローブがあり、どちらを選ぶか迷った場合のために、各グローブに使われている素材や構造を一覧表の後でご紹介します。選んだグローブに使われている素材や構造を知ることで、同じような対応温度域のグローブでも違いがはっきりし、理解が深まることでしょう。どうぞ目的に合ったグローブ選びの参考にしてください。
目次
比較一覧表
グローブの特長を構成する各要素
中綿素材の違い
冬用グローブにとって最も大切なのが保温性。しかし保温性を高めると分厚くなり、指を動かしにくくなってしまいます。用途に合った保温性と操作性の両立が大切です。素材により違いが現れるのがこのバランスと言えるでしょう。
中綿の厚みによって変わる保温性
BDグローブの保温素材は3種類。プリマロフト®、シンサレート®、フリースが使用されています。基本的には保温素材が厚くなるほど保温性が高く、操作性は鈍くなります。
断熱性は高い順に、
プリマロフト® > シンサレート® > フリースの順になります。
プリマロフト® とシンサレート®の特徴と違い
プリマロフト® 〜保温性重視〜
綿のように細い繊維が絡み合った保温素材。柔らかでロフトが高く(よくふくらみ)、ダウンのような優れた保温性が特徴です。ややかさばるため、操作性よりも厳寒地での保温性を重視したグローブに使用されます。
シンサレート® 〜操作性重視〜
綿シート状の保温素材。比較的薄いため、かさばりが少なく操作性が求められるシーンで有効な保温素材です。保温性はプリマロフト®に一歩譲ります。
インナーの取り外しができるか
積雪期用グローブには、インナーグローブが取り外しできるセパレートタイプと取り外しできない一体タイプがあり、それぞれに適したシーンがあります。それぞれのメリットとデメリットは何でしょう。
別体タイプのソロイスト
別体タイプのメリット
すぐに乾かせる
・春スキーなどの濡れやすい状況で便利
・濡れたインナーを取り外し、山小屋などで翌日までに乾かせる
・別のインナーグローブを用意しておけば、すぐに乾いたグローブを使える
別体タイプのデメリット
・指先感覚や操作性が劣る(指とアウター間の生地層が多い)
一体タイプのメリット
指先感覚や操作性が高い
・細かい操作が必要な場合に便利
・日帰り登山など濡れても乾かす必要性が少ない状況で有利
一体タイプは比較的ギヤ類の操作に適している
一体タイプのデメリット
・内部が濡れるとフィールドで乾かすのは難しい
防水透湿素材の違い
ブラックダイヤモンドのグローブで使用している防水透湿素材は、ゴアテックス®とBDdryの2種類です。伸縮性が異なるため、操作性に違いがあらわれます。
ゴアテックス®
グローブ用の防水透湿素材として防水性、透湿性、耐久性の基準となる非常に優秀な素材ですが、伸縮性に欠ける面があります。
シェルの下にはこのような白いメンブレン(膜)が内蔵されている。メンブレンはほとんど伸縮しないので、操作性を妨げないよう、グローブ本体よりもかなり大きな手袋状に成形している。
BDdry
グローブ用の防水透湿素材として防水性、透湿性、耐久性も十分な性能を持ち、ゴアテックス®にはない高い伸縮性があります。
伸縮性に優れるためメンブレンのサイズがより小さくできている。
酷使が予想される場合はゴアテックス®、より高い操作性を求める場合は伸縮性の高いBDdryを使用したグローブという選び方も可能。どちらも縫い目のない手袋状のメンブレンをシェルの下に入れ、防水性を確保しています。
5本指/三本指ミトン/ミトン
グローブの形状は3種類。操作性をとるか、保温性をとるかで選択が変わります。
5本指グローブ
5本指はそれぞれの指の間に冷気の隔壁があるようなもの。操作性は最も高いが保温性は3タイプの中で最も低い。
適用シーン:2000m以下の雪山、操作性重視の場合、冷えに強い方
3本指ミトン
5本指とミトン双方の欠点を補ったのが3本指。十分な保温性を確保しながら多少の作業性も併せ持つ。
適用シーン:本州厳寒地、手指の冷えやすい方
ミトン
5本指のような冷気の隔壁がないため、保温性は最も高いが状況によってはオーバースペックとなることも。指での操作ができないため操作性は最も低い。
適用シーン:北海道の厳寒地、極地
アウターシェル素材の違い
アウターシェルには以下のような素材を組み合わせ、適材適所に使用しています。
100%リサイクルポリエステル
パーテックスシールド®
表地と防水透湿メンブレンを組み合わせた素材。インナー側の防水処理と相まって非常に高い防水性をもたらします。
パーテックス クォンタム®
極細繊維を高密度に織った非常にソフトで軽い生地。中綿のロフトを妨げない性質のため、ミトンのインナーシェルに採用されています。
パーテックス クォンタム®プロ
パーテックス クォンタム®のソフトで軽い生地に防水透湿メンブレンを組み合わせた素材。予備グローブとしてのコンパクト性とアウターとしての防水性、どちらも要求されるスタンスグローブにのみ採用されています。
ゴートレザー(山羊革)
掌や指先は主にしなやかで耐久性のあるゴートレザーを使用しています。ウェアの中で最も過酷な環境に晒されるグローブの摩擦部の耐久性を高めます。
シープスキンレザー(羊革)
非常に軽く柔らか。耐久性はゴートレザーに劣るため、軽さとコンパクト性を重視したスーパーライトミットにのみ採用されています。
シンセティックスエード
化学繊維によるスエード素材。レザーよりもコンパクトに収納できるため、スタッフサック付属で予備グローブとして使用できるスタンスグローブにのみ採用されています。
サイズ選び
様々な長さが用意されています。自分の身長、手の長さ、目指す山の斜度によって適した長さは変わりますが、長めと短めそれぞれ有効なシーンがあるので考慮に入れておくとよいでしょう。
サイズの選択方法
以下2つのどちらか長い方の長さでサイズを選びます。
・利き手の周囲の長さ
・手のひらの付け根から中指の先までの長さ
インナーグローブを使う場合、厚めのインナーグローブであればワンサイズ大き目を選ぶ方法もあります。


このページは2021年10月31日時点の情報を元に作成しています
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